樹水様から暑中見舞いイラストを頂きました。
すでに夏が終わってむしろ冬ですが頭の中は常夏なので、問題なし。

載せるのが遅くなって本当にすみません〜;;


すでに季節がアレですが(二回目)…あああ、こんな子が海岸にいたらナンパする。

むしろ誘われてやるぜこのやろう!

やっぱり夏はアイスプレ○ですよねなんて、とんでもない会話を交わして楽しませてもらいました。
そんでもってやっぱり恒例の、人様の絵を無断借用した小説をば。



樹水様に届けこのモヤモヤ!



















夕日を君と




「うーみーだ!!」

 はしゃいで砂浜を走り回る雲雀の髪が翻るのを、疾風は砂の上に座りながらぼんやりと眺めていた。

「…子どもは元気だな」

「暑くてたまらんわ。俺寝る」

 横にいた眼竜は、日よけに潜り込んで寝っころがってしまった。

「年寄り臭い話はやめようよ。折角楽しい海なのに」

 煌くような笑顔を浮かべながら、ヤキソバを食べる白夜に疾風は胡乱げな視線を向けた。

「お前、プライベートビーチくらいあるだろ。なんで、こんな人の多いところに…」

 内陸部にある王都から、鉄道と馬車で揺られて半日。国の中でも一,二位を争う景色の綺麗なビーチまでみんなでやってきたのはついさっきのこと。

 もともと白夜に誘われたのが始まりだった。そこに便乗したのが鴉と花梨で、それに引きずられて琥珀も行きたいと言いだしたのだ。二人に比べればかなり控えめな主張だったが。

 結局、この一泊二日の休みのために昨日までにかなりの仕事を終わらせた。ボスと幹部半分が氷雨には不在になってしまうが、まあ一日くらいなら大丈夫だろう。

「ん? だって政治家たるもの、民衆の中に混じって生活を観察するのは当然だろう?」

 まじめな口調でたこ焼きをパクつく白夜に、疾風は溜め息をついた。

「単に海で売ってあるものが食べたかっただけだろうが」

「がちがちに護られて、楽しめる訳ないない。 腕の確かな用心棒と、医者がいれば大抵の事は心配ないし」

 にっこり無邪気に笑う白夜に勝てるものはいない。すでに諦めている疾風は、周りをチェックしていた千蛇が帰ってきたのを迎えた。

「どうだった?」

「バレてる様子はありません。 注意人物も見当たりませんし、大丈夫でしょう」

 お忍びとは言え大臣候補と、アンダーリバーの要人が来ているのだ、警戒するに越したことはない。

「お待たせしました」

 そこに、ワンピース型の鮮やかな青色の水着を着た凪が、熱い砂を踏みしめながら現れた。豊満な体を惜しげもなく太陽に晒し、長い髪は器用に後ろで巻き上げている。

 一子の母とは思えぬほど美しい妻の姿に白夜は微笑んだ。

「遅かったね」

「女の仕度は長いものですよ。 文句を言わずに待つのが、男の役目です」

「お待たせしましたっ」

 赤毛の髪を後ろで緩く編んだ花梨が、元気に砂浜を走ってきた。黄色のスポーツタイプの水着である。その後ろには黒いビキニを着た鴉と、恥ずかしそうにきょろきょろと周りを見回す琥珀の姿。

 彼女はレースの付いたヒラヒラの水着を着ていた。

 愛らしいピンク色のそれは、眼竜の言うとおり非常に琥珀に似合っていた。いつもとは違った形で編んだ髪の上には夏らしく、向日葵の髪留めがついている。

 水着を着ただけの体は触れたら折れてしまいそうなほど華奢で、きめ細かい白い肌は目に眩しい位だ。

 この四人が現れたところで、一斉に海岸にいる人間――――――特に男の目が集まった。

「へえ、みんな似合ってるじゃねーの」

「………………………………おい。 なんだあれ」

 眼竜は率直な意見を。そして疾風は思わず腰を浮かして白夜のパーカーを掴んだ。

「気に入ってくれた?仕事で忙しい疾風のために用意した水着だよ? じっくり見て癒されて、仕事頑張ってもらわないとね」

 にやりと笑って言った白夜を、海に沈めてやろうかと力を入れた時。それまで不安そうに周りを見ていた琥珀と眼があった。

 恥ずかしそうに頬を染めたままだった琥珀は、すぐに眉を八の字にして膨れた顔で視線を外してしまう。

(……………?)

 思いがけない態度に疾風が顔をしかめる。それを見ていた白夜が、ことさら大きな声で立ち上がった。

「さあ、じゃあ、準備体操して皆で泳ごう!」

 にこやかに準備体操を始めた白夜に付いて、氷雨の面々もきびきびした動きで運動を始めた。琥珀も花梨に促されて半拍遅れてそれに倣う。体を動かす事についてはプロなので、各自適度に運動を終えた。

「じゃあ、お先に失礼しま〜すっ」

 ムードメーカーの鴉と雲雀が、いの一番に海に向かって突進していった。 白夜と凪も海に入っていき、琥珀も花梨に手を引かれて海に近づく。

 ぱしゃぱしゃと水辺に入っていって、琥珀は目を見開いた。

 ひんやりとした水が、足元を覆っては去っていく。熱くほてった体が、海水で冷やされていく。一歩、一歩と中に入っていって、突然砂に足を取られて琥珀は海の中に沈んだ。

「……っ、っ」

 水の世界を眺める余裕もなく、琥珀はばたばたと手足を動かした。体は空気を求めているのに、もがいてももがいても水の中から抜け出せない。

 と、力強い手が体を支えて、水の中から引っ張り上げてくれた。

 けほけほと咽て、しみる目を何とか開けると、目の前に疾風がいた。

「…大丈夫か?」

「けほっ、こほっ」

 ぶるぶると体を振るって、琥珀は疾風に必死に抱きついた。怖いものを見るような眼で、足元の打ち寄せる波を見る。

「息、いき…しょっぱ、水……」

「…もうちょっと、海について学ぶべきだったな」

 予想はしていたが、やはり泳げないらしい。

 というか波打ち際の浅いところで溺れかけられると、もの凄く不安になる。これは足のつかないところまで行かせるわけにはいかない。

「砂浜で遊んどけ」

「……降ろして」

 抱え上げられたままだった琥珀は、またしてもふいっと視線をそらした。いつになく反抗的な態度に、疾風は眼を細める。いつもは押さえている、彼女に対する征服欲が自分の中で頭をもたげるのを微かに感じた。

「だだだ、大丈夫ですか!?」

 騒ぎに気づいた花梨が慌てて駆け寄ってきた。琥珀を砂浜に下ろすと、すぐに花梨に駆け寄って後ろに隠れてしまう。琥珀と疾風を交互に何度も見て、間に挟まれた花梨は困った様子だ。

「琥珀、…ちょっと散歩しようか」

 疾風があくまで紳士的に手を差し伸べる。軽く口の端も持ち上げて彼女を見ると、琥珀は明らかに狼狽えた。

「おいで」

 こういう口調の疾風からは逃げられないと分かっているのだろう。琥珀は躊躇いながらも小さく頷いた。

   
 

 
















ええと……長すぎるのでもう1ページ用意しました。内容はR15くらい。
回を追う毎に長くなっていく…すみません、素敵絵を汚してないか非常に心配です。

樹水さまのみ、よろしければお持ち帰りしてください!もちろん返品可です。



素敵な可愛い絵を本当にありがとうございました!!
めんこいよ〜可愛いよう〜。

スローぺースな管理人ですが、樹水さま、よかったらこれからもよろしくお願いします!!orz





↑素敵小説がたくさんです。R指定がまたいい…。樹水さまのサイトです。







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