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 近づいてくる足音が聞こえてきて、狼は眼を花畑の外へ向けました。腕の中の赤頭巾ちゃんは脱げかけ
の靴下以外なにも身に纏っていません。

 こんな格好の赤頭巾ちゃんを誰かに見られるわけにはいきません。舌打ちをした狼は赤頭巾ちゃんを胸
に引き寄せて、ゆったりとした服の袖でその華奢な体を隠しました。

「・・・っふ・・?」

 顔を朱に染めて荒い息をつく赤頭巾ちゃんが、その行動に潤んだ眼を狼に向けました。狼は軽く笑って、
徐に赤頭巾ちゃんの体を突きました。

「あっ・・!」

 明らかに許容量を超える質量のものを体に受け入れている赤頭巾ちゃんにはそれだけでも大きな負担
です。赤頭巾ちゃんは顔を顰めて細くて少し癖のある髪を揺らしました。

「ど、し・・・・たの・・・?」

 掠れた音を吐息に乗せた赤頭巾ちゃんの声には、とても艶がありました。先ほどの衝撃で眼のふちに
溜まっていた涙が頬を伝います。その頬にキスを降らせながら狼は言いました。

「・・・・ちょっと黙っててくれよ」

「ひ、あっ! や・・・待っ・・む、ぐっ・・・?」

 突然動き始めた狼の動きに怯えた声をあげる赤頭巾ちゃんの口を、狼が大きな手で塞いでしまいまし
た。圧迫感に息苦しい赤頭巾ちゃんは、眼を硬く閉じました。

 そんな彼女をよそに、狼は招かざる来訪者を見ました。

「・・・・・・って、なにやってだ!?」

 狼と、腕の中の赤頭巾ちゃん、そして花畑に散乱している赤頭巾ちゃんの服を見て、たまたまそこに
通りかかった猟師がすっとんきょうな声をあげました。大きな体で肩に銃をかけた猟師は、段取りを無視
した狼の暴挙に言葉を失い、頭をかいて眼を宙に泳がせました。

「何してるように見える?」

 少し汗をかいている狼は、挑発的な眼で猟師を見ました。その腕の中の赤頭巾ちゃんは、顔を真っ赤
にして体を一定のリズムで痙攣させています。とても息苦しいのでしょう、口と鼻を覆う狼の手をぎゅっと
掴んで硬く閉じた眼から涙を流しています。

「・・・・・・・・・え――――――と、狼が赤頭巾ちゃんを食べてるように見えるな。 ちなみに手離さないと
赤頭巾ちゃん窒息するぞ?」

 最後の言葉に、狼は赤頭巾ちゃんの口から軽く手を離しました。

「やっ、ん・・・ふ、あっ・・・っ」

 初めて見る上予想以上に色っぽい赤頭巾ちゃんの表情と喘ぎ声に、そういうことかと猟師は納得しまし
た。さすがの猟師も、これ以上この場にいるのはかなり気が引けました。

「一応、言っとくけど。・・・赤頭巾ちゃんを今すぐ放してくれ」

「無理」

「無理って・・・人命第一で、撃つぞ?」

 狼はそれを聞いて、眼をすっと細めて猟師を冷たく睨みました。

「こいつはな、俺が捕まえた獲物なんだよ。たかが猟師風情が、俺の食事を邪魔する気か?」

「いや、あの、さすがに見殺しは・・・・・」

「なにか文句あるのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いいえぇ」

「りょうし、さん・・・っ、・・・ふぇ」

「ごめん、赤頭巾ちゃんっ」

 縋るような赤頭巾ちゃんの瞳と涙に罪悪感を抱きつつ、ダッシュで猟師はこの場から逃げました。ちょっ
と前屈みだったのは、見なかったことにした方がよさそうです。

「ば、かぁ・・・っ、おおかみさん、の、・・・・っ!?」

 眉を吊り上げて狼を睨みつける赤頭巾ちゃんが、眼を見開いて体を硬直させました。

「俺が? なんだって?」

 邪魔者がいなくなったので、狼は真剣に赤頭巾ちゃんを犯し始めました。赤頭巾ちゃんの体を知り尽くし
ている狼は弱いところを的確に突いてきます。

「や、あっ・・・!!あっあ・・・・っ」

 突き上げられるたびに、赤頭巾ちゃんの頭が真っ白になりました。もう、ここがどこかも、猟師さんに見ら
れたことも忘れそうなほど強い刺激に、赤頭巾ちゃんは必死で抵抗しました。

「や・・っ、だめ・・・やめ、ってぇっ・・・・おねが・・い」

「・・・なんでそんなに嫌がるんだ?」

 狼は赤頭巾ちゃんと鼻梁をこすりつけるようにして囁きました。やめてあげたくとも、限界も近い今はもう
無理です。赤頭巾ちゃんは閉じていた目を少し開けて、苦しそうな息の元答えました。

「寝、ちゃぅ・・・、おつ、かい・・の、とちゅう・・・なの、に」

 至近距離からわずかに覗く琥珀色の目に見惚れながら、狼はそっと赤頭巾ちゃんに口付けしました。

「安心しろよ。俺がちゃんと送り届けてやる」

 右手で、赤頭巾ちゃんの胸の突起を爪で擦りました。

「・・・・あっ――!!」

「くっ・・・」

 限界を超えていた赤頭巾ちゃんはその刺激に、達してしまいました。そしてその締め付けに、狼も赤頭巾
ちゃんの中に精を吐き出しました。 狼が自分の中から出て行く感触を最後に、赤頭巾ちゃんの意識は途切
れました。





 赤頭巾ちゃんがおばあさんの家に着いたのは、夕方ごろでした。ずっと赤頭巾ちゃんが来るのを楽しみに
していたおばあさんは、玄関の窓の外に自分があげた赤頭巾を見つけて、寝ていたベッドから起き上がりま
した。

「邪魔するぞ」

 しかしドアを開けて現れたのは赤頭巾ちゃんではなく、眠っている彼女を横抱きにして腕にバスケットを下
げた狼でした。

「へ? なんで!?」

 おばあさんはびっくりして眼を見開きました。よく見ると、赤頭巾ちゃんの服はあちこち乱れていて、白い肌
にはいくつもの紅い痣、顔には泣いた後がはっきり残っていました。

 それで全てを悟ったおばあさんは、自分が寝ていたベッドに赤頭巾ちゃんを寝かせてあげました。

「土産」

 と、狼は持っていたバスケットをおばあさんに渡しました。

「あ、どうも」

「じゃあ出てけ」

「・・・・・・・・・え?」

「聞こえなかったか?この家から出て行けと言ったんだ」

「え、ちょ、なんですか、それ!? 段取り違いますよ」

「俺は赤頭巾を食べただけでお腹が一杯だ。 それとも、――――力ずくで追い出されたいか?」

「いいえっ、結構です!!し、失礼しました!!」

 狼が鋭い眼光をおばあさんに向けると、全身に鳥肌を立たせたおばあさんは直立不動で敬礼しました。
そしてその場の圧力に耐え切れず、おばあさんは寝巻きのまま家を飛び出しました。





「ん・・・・・?」

「起きたか」

 赤頭巾ちゃんは始め自分がどこにいるのか分からずに混乱しました。さすがに病気のおばあさんのベッ
ドに寝転がって目覚めた事は赤頭巾ちゃんにはありませんでしたから。しかし、一番の違和感としてベッド
の横の椅子に座って本を読む狼がいたからでした。

「あ、ここ、は・・・?」

 体のあちこちが痛いものの身を起こそうとした赤頭巾ちゃんは、自分の体の状態に気づきました。

「え・・・?」

 手が万歳のかっこうのまま紐で縛ってあり、その端がベッドにくくりつけられていたのです。これでは起き
上がることはもちろん、動きも制限されてしまいます。

「ここは、赤頭巾ちゃんのおばあさんの家」

「ぇ・・・だって・・・おばあちゃんは・・・・?」

 自分が寝ているのがおばあさんのベッドだと気づいて、赤頭巾ちゃんは不安そうに瞳を揺らしました。

「おばあさんなら大丈夫だよ。丁重に追いだ・・・いや、出かけてもらった」

「病気は・・・?」

「治ったそうだ」

 おばあさんの無事を知ってほっとした赤頭巾ちゃんの上に、狼が徐に覆いかぶさりました。

 夕方の濃い気配が家の中まで忍び寄ってきて、そんな中で見る狼の瞳は先ほど以上に官能的な光を帯
びていました。

「さて、じゃあ邪魔者も入らないところで続きといこうか」

「ほぇ? ・・・・ここ、で・・っ?」

 体の自由がきかない赤頭巾ちゃんは、またしてもあっさりと狼に食べられてしまいました。



 それから二人は、おばあさんを追い出した森の中の家で一緒に幸せに暮らしましたとさ。







・・・・・・・・・・・屋外ぷれい?(爆)
疾風の独壇場ですね。もう何言っても聞いてくれません。

ネタが出来たらまた続くかもですが、何させるにせよ、
疾風と琥珀が出会った時点で話が進まなくなる可能性大です。

読んでくださってありがとうございました!


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