5月12日

 瑪瑙が生まれて10日。
 今日は疾風さんが休みでした。なので、瑪瑙のことをお願いしました。
 鴉さんの検診が終わって部屋に戻ると、疾風さんが瑪瑙の隣で寝てました。瑪瑙もぐっすり寝てます。
 ………並んでると、やっぱり似て……る、かな?
 じっと見てたら、二人ともほぼ同時に起きてきました。やっぱり似てる。






 5月20日

 出張でしばらく留守になるみたい。
 くれぐれも無茶はしない、大人しくしとけ、部屋にいとけって朝からずっと言ってました。
 瑪瑙を抱っこして、お見送り。小さな手をとって振ってると、疾風さんはすごく嬉しそうに笑ってました。






 6月4日

 夜泣きが大変。毎日2〜3時間ずつしか寝られなくて、寝不足です。
 赤ちゃんは泣くのが仕事ですが、やっぱり辛い。どうしても起きれない時は、花梨さんに面倒みてもらったりしながら。すごく助かってます。
 みんなに手伝ってもらってるから、なんとか大丈夫。
 でも、疾風さんも瑪瑙の声で起きてるので、部屋を分けようと思います。




 6月5日

 瑪瑙と一緒に違う部屋で寝る、って言ったら凄く怒られた。






 6月7日

 疾風さんが口をきいてくれません。瑪瑙とは遊んでくれてます。でも顔がやっぱり怒ってます。怖くて近寄れません。






 6月8日

 ごめんなさい、って言ったらやっぱり怒った顔。
 仲直りはしました。二度と言いません。
 ………でも、本当に大丈夫なのかな…。寝不足で仕事、できてるのかな?






 6月9日

 花梨さんと鴉さんに、今回のことを相談したら、当たり前っ!て怒られた。
 その後もいろいろ話をして、なんとなく疾風さんが怒った理由が分かりました。
 もっと甘えていいみたい。何をと言われると、特に思いつかないけど……。
 話している間はずっと瑪瑙は寝てました。良い子。






 9月18日

 最近あやすとよく笑ってくれます。瑪瑙の笑顔を見ていると嬉しい。
 あと、オモチャで遊び始めました。まだ手にとって投げる程度だけど。
 もういいですって、ずっと言ってるのに………パパからのオモチャのプレゼントで部屋が一つ埋まってしまった。
 疾風さんが捨てるって言ってるから、阻止してきます。






 11月1日

 最近疾風さんは瑪瑙を肩に担いで、建物の中をあちこち歩いてます。
 小さいうちに色んな人と接しておいた方が、人見知りにならなくていいって。鴉さんは、それをネタに自慢したいだけだって言ってた。私もそう思う。そうだといいな。
 困るのは、私は付いていけないこと。瑪瑙はいいのに。私も自慢したいのに。お留守番です。






 1月21日

 ようやくハイハイできるようになりました。
 瑪瑙は元気です。家具にぶつかっても楽しそうに笑ってます。ちょっと目を離した隙にぶつかるから、気を抜けません。
 眼竜さんにお願いして、家具にクッションをつけることになりました。






 1月24日

 瑪瑙を抱えて、疾風さまが本を読んでます。
 瑪瑙もあーとかだーとか、適当に相づちを打ってます。でも抱っこは嫌いみたいで



「琥珀」

 そこまで日記帳に書いたところで、後ろから声をかけられた。

 振り向くと、ベッドの上で疾風がこちらを見ていた。あぐらをかいた足の上に乗せた瑪瑙は、絵本と疾風の腕の隙間から、なんとか外に出ようと藻掻いている。

「やっぱりお母さんの方がいいってさ」

 本をベッドの上に投げて腕を上げると、瑪瑙はベッドの上をボスボスと這って進んできた。

 日記帳を閉じる。もうすっかりボロボロになった日記帳は、もう少しで一冊目が終わりそうだ。

 ベッドから落ちそうな瑪瑙を抱き上げて、あやす。腕の中の瑪瑙に微笑んでいると、琥珀はぐいっと体ごと引かれてベッドに落ちた。

 ふかふかなので怪我もなにもないけれど、衝撃に驚く。琥珀と違って、瑪瑙はきゃっきゃっと喜んでいるが。

「びっくり……」

 した、と寝転がったまま振り返る。

 思ったより近くに疾風もいて、三人一緒に寝転がった。

「いつもご苦労様」

 彼はクスッと笑うと琥珀の頭を撫でた。そのまま、腕の中の瑪瑙の頭も撫でる。

「子育ては本当に大変だ……」

「うん。でも」

 琥珀は疾風を見返して、笑った。

「幸せだから、大丈夫だよ」

  









リクエストしてくださった方に捧げます。
遅くなってすみません!リク嬉しいです、ありがとうございました!

琥珀の日記から一部抜粋。
姉の子育てを見ていて思う。人を育てるのって大変…!そんな分かり切ったこと、今更ですね。












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